警視庁は15日、創設150年を迎えた。最前線の拠点となる「交番」の制度が始まったのも、同じ1874年だ。警視庁で生まれた交番は、街の治安を守り続け、今は世界でも「KOBAN」として活躍している。
東京都港区の六本木交差点近くの5階建てビル1階にある「六本木交番」。築59年で、警視庁管内で現存する最古の交番だ。
「行ってきます」
今月5日午後5時。交番の前で警戒にあたっていた武内詞音(しおん)巡査長(25)が駆けだした。
直進車線にいながら左折したタクシーを見逃さなかった。数十メートル先の信号手前で止め、違反切符を切った。「街全体を広く見ていれば、おかしいところにすぐ気づける」
大卒で入庁し、4月で3年。そのうち約2年が六本木交番での勤務だ。
この日は金曜日。街はにぎわっていた。泥酔した人を介抱したり、歩道を走る電動キックボードの男性を注意したり。救急車が通るとマイクで「道をゆずってください」と呼びかけた。手を振ってきた子どもには笑顔で手を振り返し、道を尋ねる外国人には紙の地図を見せて案内した。
胸にあるのは、警察学校の教官からの言葉だ。「交番は『地域の灯台』だと教わった。交番が街を照らすから、住民が安心して暮らせる」
勤務を終えたのは翌6日の午前10時半。眠らない街は静けさを取り戻していた。
地域総務課によると、交番制度が始まったのは警視庁の創設と同じ1874年。当時は警察署から特定の場所に出向き、交代で立ち番をする形だった。交番の名前は「交代で番をする所」に由来するという。その後、建物に常勤する現在の形に変わり、現在は都内に計825カ所ある。
増加する外国人に対応するため、1995年から「KOBAN」と書いたシンボルマーク入りの案内表示板が設置された。
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル